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6月, 2020の投稿を表示しています

数学における発明の心理 (日本語)

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著者: ジャック・アダマール  数学者が発明発見について述べると言うところにこの本の面白さがある。もともとは、数学的な考え方と言うものについて知りたくて読み始めたんだけど、そういったものはあまり出てこない。 驚いたのは、アダマールがイメージで思考していると言うことだ。これは、最近自分がずっと考えていたことで、まさかここでつながるとは思ってもいなかった。アダマールの観点からいくと、言語で思考すると言うことが信じられないというか、イメージで思考することが普通であるかのような書き方をしている。そこは自分も興味のあるところだ。 また、彼が他の数学者にどういった思考をしているか質問しており、巻末にはアインシュタイン博士からの回答が記載されているのも楽しい。 この本は、数学における発明の心理と言うタイトルではあるが、数学者がいかに思考して結論に至るかといった過程が垣間見られて興味深い1冊だった。

東大の先生! 文系の私に超わかりやすく数学を教えてください!

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著者:西成 活裕  東大の西成活裕先生に数学のことを聞きに行く。この西成先生と言うのは渋滞学などで有名な先生。最近はメディアでもよく見かけるようになった。そこに根っからの文系で数学の事は全然わからないという編集者が話を聞きに行く。 ただこの編集者というのが確かに根っからの文系ではあるのだけれど、飲み込みが早く、西成先生も教えやすそう。 この本で言われている世の中の原理原則を客観的に捉えていることができるんだ、みたいな感動体験っていうのはなかなかためになる ちなみに暗算と数学は全く関係がない。 暗算が早いのは1種の特殊能力で、早く解くコツを掴んでいるだけ。 先生が言ってるのは思考体力というのが重要だと言う事 「思考体力」と言うのは、 ・自己駆動力 ・多段思考力 ・疑い力 ・大局力 ・場合分け力 ・ジャンプ力 の6点 自己駆動力はいわば思考のエンジン。知りたい解決したいと思いを通じて頭を使う。自分事にして解決していく 2番目の多段思考力は粘り強く考え続ける力のこと 3番目の疑い力とは自分の導いた答えは本当に正しいのかとか自分の解釈は本当に正しいのかと自分の判断や答えを疑う力 4番の大局力は空飛ぶ鳥の目線のように物事全体を俯瞰して眺められる力の事 5番目の場合分け力は複雑な課題で選択私がいっぱいあるときに正しく評価する力のこと 6番目のジャンプ力はひらめき 数学のゴールは ・代数 ・解析 ・幾何 の3種類になるらしい 因数分解とはそもそも共通項を抽出すると言うことを意味する。 細かい計算については、まだわからないところがあったが、微分積分の考え方など、実際の生活の中でも応用が利く概念が多く、役に立った。特に微分積分の、細かく分けていくことによって物事が具体的になっていく、無駄が見えてくる。この考え方は非常に感銘を受けた。そしてそれを積み重ねていくのが積分。この考え方は非常に役に立つと思う。 わかりにくいものを、既にわかっていることをツールとして解していくと言う考え方も有効だ。こういった概念を頭に入れておくことによって、思考をフル活用することができると思う。 この本は時々読み返して、頭の整理、思考の活用法に使っていきたいと思う。

天文学者たちの江戸時代 ──暦・宇宙観の大転換 (ちくま新書)

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著者:嘉数次人

ビリー・バッド

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著者:ハーマン・メルヴィル 面白いと言っていいのか。 モヤモヤした感じが残る小説だ。 水夫ビリー・バッドの人生。 ビリーは美男子で、周りの人間から愛されるキャラクターだ。 彼はある船で働いていたが、軍艦に徴用される。 その船でも彼は愛されキャラクターになる。やがて、こっそり彼に話しかけてくる謎の人物、そして彼を嫌う上官。こんなキャラクターが配置され、いよいよ盛り上がるか、というところで盛り上がらない。いきなり終わってしまうのだ。 これといったオチがあるわけではない、というか、オチはあるんだけどすっきりしない。突然始まって、突然終わってしまう感じだ。 いわゆる冒険活劇などではなく、ある人物の人生の1部分を切り取った感じ。 その中には、様々な人間が登場し、当時の時代背景などが説明される。 エンターテイメントではなく時代の空気を切り取ることに腐心したような小説だ。 浦沢直樹のコミックと関係があるのかは不明である。

緋文字 光文社古典新訳文庫

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作者:ナサニエル・ホーソーン ナサニエル・ホーソーンが1850年に出版したアメリカのゴシックロマン小説。 堅苦しい小説かと思って敬遠していたが、読んでみると面白かった。 たしかに骨太ではあるし、時代性なのか、現代の小説にはみられない構成をしているというとこで、とっつきにくさはあるが、たいした問題点ではない。 むしろ、この小説がテーマとしている、勇気をもって真実を語るということについて力強く語られており、楽しく読めた。 舞台は16世紀なかばのアメリカ・ボストン。 父親のわからない娘を生んだという罪で、ある女ヘスター・プリンが罰せられる。 緋文字のAの文字を胸につけて生きるのだ。 ヘスター・プリンと娘のパールが人目をさけて暮らす。そして、ヘスターの元夫が彼女を監視する。町の牧師との関係なども語られる。 プロットをまとめてみると、シンプルな作品だったが、各キャラクターについて深く掘り下げられており、読み応えがある。

堕靡泥の星 2

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著者:佐藤まさあき 金を手に入れた神納達也は、アイドルを誘拐して自分の好きなように調教しようとする。 消費社会の頂点にいるアイドルをめちゃくちゃにするという発想は、現在のバンクシーにも通ずる消費社会へのアンチテーゼだ。 佐藤まさあきは劇画という表現方法を用いて、高度経済成長に浮かれる日本社会に疑問を投げかけていたのかもしれない。

堕靡泥の星 1

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著者:佐藤まさあき 懐かしくて読み返したが、おもしろい。 いわゆる劇画といったらこの人。佐藤まさあき。 孤高のアンチヒーローが悪に生きる。 しかし、彼の行っていることは本当に悪なのか。 もちろん、世間の常識から言ったら悪だ。 しかし、彼がそういうふうになってしまったのは、果たして彼の責任なのだろうか。歪んだ家庭で育ち、世の中への報復を考えざるを得ない生活をしてきた彼のもとに、その報復を実行できる機会が与えられたとしたら。 ある嵐の夜、裕福な夫婦の家に殺人犯が押し入った。 殺人犯はその妻を犯し、彼女は子供を宿した。 生まれた子供は達也と名付けられて、その家庭で育った。 しかし、父親は達也を憎み、いじめ抜いた。 母親は父親に責められて自殺。 歪んだ家庭の中で達也は復讐の時を狙っていた。 人は、生まれたときから悪という存在であるということがあるのだろうか。達也の場合は、父親が悪であったことから、彼自身は善として育つ可能性があったにもかかわらず、その芽が摘まれた。そして、その芽を摘んだ父親は、自分が悪として育てた達也によって復讐される。

誰にでも才能はある。問題はその「原石」をどう見つけて磨くかだ

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著者:本田真美 社会人向けの自己啓発書と言ってしまえばそれまでなのだが、それぞれの人が持っている素質を分類し、それを組み合わせることによって、より成功に導けるようにと言う配慮がなされている。 それぞれの素質に関して、質問表がついており、回答することによって、自分のメリットデメリットがわかった。長所短所がわかった。 そして、それぞれの能力の組み合わせによって、飛躍的に社会で役に立つ能力となる。 これを使えば、自分がどういったことに気をつけて、仕事をしていけばいいのかわかる。 今まで読んできた本の中で、誰にでも当てはまるものだと思っていたことが、実はそうではないと言うこともわかり興味深い。

医師のつくった「頭のよさ」テスト 認知特性から見た6つのパターン

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著者:本田真美 著者によると頭が良い人と言うのは、一人一人生まれながらもっている資質や能力を最大限に活用できる人のことだという。 人それぞれに認知特性がある。 人はおのずと自分の認知特性を生かした職業を選んでいるものだが、さらに評価されるためには、自分の得意な能力を発揮し、不得意な能力を補えるようにしなくてはいけない。 著者が提唱している認知特性と言うものが、どの程度普及しているものなのかがよくわからない。 ただ、こういったパターン分けは読んでいて楽しい。 自分はどのタイプなんだろうかと、探してみたが、ぴったりと当てはまるものはなかった。それについては著者も述べており、必ずどれかに当てはまると言うものでもないようだ。それぞれの特性の伸ばし方も書いてもらうとよかった。 能力の伸ばし方について多少触れてはいるのだが、具体性に欠ける。その点で、モヤモヤ感が残る。どうすれば、より自分の能力が伸ばせるのか。そこを知りたかった。 こう書いていて思ったが、日本人は、血液型のように、ラベリングが好きだ。また、マニュアル的にどうすれば成功するか知りたがる。この本にもそういったものを期待してしまった。その安易さを反省したいと思う。