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  夜と霧 新版 著者 : ヴィクトール・E・フランクル みすず書房 発売日 : 2002-11-06 ブクログでレビューを見る» ヴィクトール・E・フランクルの名著。 新板で読んだ。 以前読んだときの衝撃はなかった。 ただし、そこに伝えられるメッセージは変わらず胸を打った。 フロイト派の精神医学社である著者はユダヤ人であるがゆえにアウシュヴィッツに送られる。システム的に、もしくはきまぐれに、収容者たちはガス室に送られたり、単に衰弱して死んでいく。この世の地獄で、著者はどうして生き延びられたのか。 ただ生きたのだ。 健康というほど健康でもなく、強靭な肉体をもっていたわけでもない。チフスにもかかった。それでも強制労働を続け、そのうちに医師として患者たちを見る役割となり、やがて唐突に終戦が訪れる。 フランクルが生き延びたのは、運がよかった。ちょっとしたことでガス室に送られる収容者たちの中で、彼はガス室に送られなかった。そして、皆殺しにされるトラックに乗らなかった。自分の意思で乗らなかったのではない。リストに名前がないから乗れなかったのだ。次のトラックを待っていたけれど、来なかったのだ。 生き残ったのは運がよかったからだ。 しかし、地獄での生活に耐えられたのは彼自身が未来への希望を捨てなかったからだ。いや、希望はもうなかった。しかし、いつの日か妻に再会することを信じていた。生ける屍になっても、そのことは忘れなかった。 著者のメッセージはシンプルだ。 人はどんなに苦しくても生きていかれる。 生きるのを諦めなければ生きていかれる。 もちろん大きな代償を支払うことになるかもしれない。 それでも生きるのだ。 この後の人生でも辛いことはたくさんあるだろう。 そのたびにこの本をめくれば、さいごまで生きていかれる。

超ストレス解消法 イライラが一瞬で消える100の科学的メソッド

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  著者:鈴木祐 ブログ「パレオな男」のファンなので読んだ。 科学的に証明された論文に基づいているというのが特色。 ストレス解消は、質より量の方が大事。 ショートストレス。短い期間にだけ感じるストレス、急性ストレスはメリットを生かしつつも適度なレベルにコントロールしていくのがポイント ループストレス、ショートストレスを何度も繰り返してしまう。 ロングストレス。最も人生のダメージが大きいストレス。ロングストレスが恐ろしいのは、やがて自分の心の負担に慣れてしまうところ。 呼吸法のように対症療法として使うテクニックも紹介されているが、最終的にはストレスを感じた時に、そのことを認識して対応できるようにするのが目標。 この本を時々めくっていれば、いろいろなストレス対策がまなべる。気をつけるべきは、読んだだけでストレス対策ができていると感じてしまうことか。

反脆弱性

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  著者:ナシーム・ニコラス・タレブ 非常に面白い。 反脆弱性、反脆さは耐久力や頑健さを超越する。衝撃を糧にする。 土地の反脆弱性について。著者の故郷であるベイルートは8回破壊され、8回再建したらしい。今回の爆発で、9回目ということか。 人間の反脆弱性について。心的外傷後成長。心的外傷後ストレス障害とは逆で、過去の出来事で心に傷を負った人々が、それまでの自分より強くなるという現象。 逆に、脆さについて。暇な人は時間を無駄にしてしまう、忙しい人はどんどん仕事をこなす。怠惰が人をダメにする。 システムが反脆ければ、事故やトラブルによってシステムは強くなる。飛行機事故によって、飛行機業界全体は同じ事故のリスクを減らすことができる。経済は巨大な一つのシステムになっているので、連鎖倒産などが起こる。つまり経済のシステムは反脆くない。 物事を決めるときに、いくつも理由があるときは、それをしないほうがいい。理由をいくつも挙げて自分を説得しようとしているからだ。これは人生において使えると感じた。 この本を読んで、多くの人が思うことを自分も思った。 これからは反脆く生きよう、と。 人はいくらでも強くなれる。その意思があれば。

日常に生かす数学的思考法

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著者:竹山 美宏 やや難しいが、数学的な思考という意味では自分が探していた方向性と合致していた。