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太陽の地図帖31 諸星大二郎 『妖怪ハンター』

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  太陽の地図帖31 諸星大二郎 『妖怪ハンター』 (別冊太陽 太陽の地図帖 31) 著者 : 平凡社 発売日 : 2015-06-29 ブクログでレビューを見る» 諸星大二郎「妖怪ハンター」の解説本。 諸星大二郎のファンは必見。 諸星大二郎の説得力のある虚構が綿密な取材に基づいて形作られているのがよくわかる。 妖怪ハンターはあまり読んでいなかったのだが、一気に興味がわいてきた。 自分は入り口が歴史エンターテイメントの「西遊妖猿伝」だったこともあり、地味な印象のある「妖怪ハンター」にはあまり食指が動かなかったのだ。 しかし、この本を読んで妖怪ハンターにも、妖怪ハンターなりの魅力があることを知った。

闇の国々

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  闇の国々 (ShoPro Books) 著者 : ブノワ・ペータース 小学館集英社プロダクション 発売日 : 2011-12-17 ブクログでレビューを見る» 見事な構築。 冒頭に地図があり、そこにある国々でおこる物語が掲載されている。 1巻の時点では、それぞれの話はまだつながっていない。 読者は壮大なイマジネーションの中をさまようことになる。 巨大な建造物、奇想天外なストーリー。 スクイテンは昔、リトル・ニモを描いていたと記憶しているが、当時から建物を見事に描く作家だった。 徐々に時代が変わっていくのも楽しい。巻が進むにつれて、現在や未来が描かれるのだろうか。

俳優の演技術 映画監督が教える脚本の読み方・役の作り方

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  俳優の演技術 映画監督が教える脚本の読み方・役の作り方 著者 : 冨樫森 フィルムアート社 発売日 : 2017-12-25 ブクログでレビューを見る» 映画や舞台の俳優を対象にした本。 演技について、懇切丁寧に解説している。 この本のすごいところは、俳優だけではなく、一般人が読んでも学ぶところが多いのだ。 映画ファンは、俳優がどうやって映画に参加しているのかを知ることができる。 それはそうだろう。 ただ、著者が書いている内容を解釈していくと、映画の制作方法だけでなく、登場人物に同化して映画を楽しむこともできる。 映画だけではない。読書でもこの本に書かれている考え方を使えば著者になりきって読むことも可能だろう。 他人を理解する、他人になりきる。 対象にいかに深く潜り込むか。 それは自分の世界を広げることにもつながる。 映画を愛する人、自分の世界を広げたい人に読んでもらいたい本だ。

絵を見る技術 名画の構造を読み解く

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  絵を見る技術 名画の構造を読み解く 著者 : 秋田麻早子 朝日出版社 発売日 : 2019-05-02 ブクログでレビューを見る» 非常に面白い。 絵画の読み取り方を技術的な面から徹底的に解説した本。 アート好きで、より深く理解したい、楽しみたいという人に向いている。 絵画の主題については触れておらず、技術の面のみ。 音楽でいうと、テーマやメッセージについては語られず、使われている楽器や演奏技術、曲の構造などについて解説している。 「この作品は私たちになにを語りかけているのだろうか」という話ではなく、画家がどんな工夫をして、形を整えたり、バランスを整えたり、または見る人がじっくり絵を見るような工夫をしているか、ということを解説している。 こう書くと難解な技術書なのではないかと思われるかもしれないが、非常にわかりやすい。たぶん、高校生くらいから読める。 いろいろな技術があるが、 ・フォーカルポイント 誰が、どれが、絵の主役なのか ・リーディングライン 鑑賞者の視線誘導 がおもしろかった。 他の技術もあわせて、絵画を見るときに意識しよう。 これは絵画を分析するための本ではなく、絵画を楽しむための補助的な本。あくまでも「絵画が好き」で「もっと知りたい」という人のための本だ。 音楽の話で言うと、音楽好きな人が、音楽ってどうやってできているんだろう、と知るための本。音楽から受け取る印象は、まずは本人の感覚を優先する。 今後、モダンアートや立体作品についても同じスタンスの本が出るといいな。と願う。

最高の体調 ~進化医学のアプローチで、過去最高のコンディションを実現する方法~ (ACTIVE HEALTH 001)

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最高の体調 ~進化医学のアプローチで、過去最高のコンディションを実現する方法~ (ACTIVE HEALTH 001) 著者 : 鈴木祐 クロスメディア・パブリッシング(インプレス) 発売日 : 2018-07-13 ブクログでレビューを見る» ブログ「パレオな男」が好きなので読んだ。 心身ともに健康でありたい人は参考になると思う。 ざっくりと以下について述べてある。 ・ストレス対策 ・目標達成 ・マインドフルネス ・充実した人生 手順が細かくて面倒くさいと思うものもあるが、常にマインドフルネスに生きるというのは現在練習中。 また、ポモドーロテクニックも試してみる。 原始時代の人間はこんな風に考えていた、という描写は、ソースがわからないというか、原始時代の人が考えていたことがどうしてわかるのだろうという疑問はある。 また、原始的な生活をしている民族が4±1の数字しか認識しないことから、それが人間の記憶できる数の限界だというのも、限定的な事例を挙げて、それを人類全体の機能であると論ずるのは無理があると思った。 ただし、全体的にはおもしろいと思うし、実践する行動も示してくれた。 「パレオな男」は引き続き読んでいこう。

モンスターの眠り

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  モンスターの眠り 著者 : エンキ・ビラル 河出書房新社 発売日 : ブクログでレビューを見る» ストーリーは難しい。 オリジナリティーのある絵とハードボイルドな世界観がすばらしい ブレードランナーにも影響を与えたと言われる、暗く寂しい色合い、空飛ぶ車。作中、ミニチュア動物が出てくるが、これなどもブレードランナーとの共通点としてあげることができる。 日本の漫画だと、弐瓶勉の「バイオメガ」に似ている。おそらく影響を受けているだろう 作品としては難解だと思うが、この中に広がる美意識は素晴らしく、独創的だ。 熱狂する人がたくさんいるのはよくわかる。

女の一生

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  女の一生 (光文社古典新訳文庫) 著者 : モーパッサン 光文社 発売日 : 2011-03-20 ブクログでレビューを見る» 古典文学のイメージを払拭するギャグが満載の名作。 いわゆる古典文学のイメージというと、常にインテリジェンスが感じられるというか、笑いについても品があるというものだった。 本作では、コントのような笑いが散りばめられていた。 楽しかったし、嬉しくもある。 本作はチャタレイ夫人の恋人と対になるような感覚がある。 機械文明ありきで人間として生きていくことを願い、戦っていたチャタレイ夫人に対し、本作の主人公ジャンヌは最初から自然とともにあり、自然を愛していた。機械文明に対する戦いは挑まない。ただ目の前にある自然を愛していたのだ。 熱に浮かされたような陽気さがにじみ出る前半と、苦しみがのしかかってくる後半。息子ポールのバカさ加減も、ほとんど笑いの域に達している。 生きるということはいいことばかりではないし、悪いことばかりでもない。 まさにそういう本だった。

この1冊ですべてわかる 新版 コーチングの基本

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この1冊ですべてわかる 新版 コーチングの基本 著者 : コーチ・エィ 日本実業出版社 発売日 : 2019-01-12 ブクログでレビューを見る» おもしろい。 生きていく中で役に立つ考え方だ。 以下におもしろかったところを抜き出す。 コーチングとは、対話を重ねることを通してクライアントが目標達成に必要なスキルや知識、考え方を備え、行動することを支援するプロセスである。 目標と目的の違い。 ある高校生のたとえを出すと、「教育を通じて世の中に貢献したい」というのが目的で、大学の教育学部で教育について学ぶことは、目標になる。 目標はそのつど、いくつもある。 現状と目標の達成までのギャップを見出す。そこが成長テーマになる。 1.ポゼッション:身につけるもの 理想の状態に近づくために必要なものはなにか。 目標達成のためにはどんな分野の情報が必要か 自分がいまもっている知識やスキルで使えそうなものはなにか 2.ビヘイビア:行動 やろうと思っていて実行できていないことはなにか 目標を達成するために今日からできることはなにか 設定期限までになにをするか 3.プレゼンス:考え方、信念 あなたが大事にしている価値観はなにか 環境の変化にあわせて自分が変化すべきことはなにか その目標を達成することで、自分にとってどんな意味があるか 人間の可能性は内側に眠る「やりたい」という気持ちに気がつけたときに拓かれる。 これまでどんな仕事をやってきたか なんの仕事をやっているときに楽しさや充実感を感じたか 仕事において譲れないこだわりはなにか これまでなにを大切にして生きてきたか 座右の銘や好きな言葉、大切にしてきた言葉はなにか 寝食を忘れて没頭してきた趣味などはあるか 自己を客観視させるための質問 ・なにを感じたか、なにを感じているか(自分の感情を客観視させる) ・なぜそう思ったか(自分の思考のプロセスを客観視させる) ・どうしたいと思っている(自分の欲求を客観視させる) 状況を自責で体験する。 それによって、発想が広がる。 なにを見ようとしているかで、なにが見えるか決まる。 いいところ、変化を見ようとすることで、変化が見えてくる。