投稿

「聴く」ことの力: 臨床哲学試論 (ちくま学芸文庫)

イメージ
「聴く」ことの力: 臨床哲学試論 (ちくま学芸文庫) 著者 : 鷲田清一 筑摩書房 発売日 : 2015-04-08 ブクログでレビューを見る» 非常にいい本だった。 生き方を教えてくれる。 聴くという行為は相手が必要だ。 それは人間である必要はなく、人生そのものかもしれない。 対象との関係性は常に変化する。 聴くためには相手になりきる必要がある。 相手を全面的に受け容れることによって相手とコミュニケートできる。 この感覚は常に意識すべきものだ。 生きている間ずっと。 人間に向き合っている時だけでなく、生活のすべてにおいてそうだ。 そうすることによって自分が変化する。成長する。 方法は、対象が強いてくる。 これは何でも同じだ マインドフルネスに通じるものがある。

闇の国々II (ShoPro Books)

イメージ
  闇の国々II (ShoPro Books) 著者 : ブノワ・ペータース 小学館集英社プロダクション 発売日 : 2012-10-31 ブクログでレビューを見る» カフカ的な世界になってきた。 闇の国々というタイトルは、光が入らないという意味での闇ではなく、人生の暗闇のような、光の当たらない人生、手探りで進むしかない世界をさしているのかもしれない。 そして、不可解な世界から人々は抜け出していく。 ある種の冥土巡りなのかもしれない。 この不可思議な世界を支えるのは、スクイテンの圧倒的な画力。構築美だ。

太陽の地図帖31 諸星大二郎 『妖怪ハンター』

イメージ
  太陽の地図帖31 諸星大二郎 『妖怪ハンター』 (別冊太陽 太陽の地図帖 31) 著者 : 平凡社 発売日 : 2015-06-29 ブクログでレビューを見る» 諸星大二郎「妖怪ハンター」の解説本。 諸星大二郎のファンは必見。 諸星大二郎の説得力のある虚構が綿密な取材に基づいて形作られているのがよくわかる。 妖怪ハンターはあまり読んでいなかったのだが、一気に興味がわいてきた。 自分は入り口が歴史エンターテイメントの「西遊妖猿伝」だったこともあり、地味な印象のある「妖怪ハンター」にはあまり食指が動かなかったのだ。 しかし、この本を読んで妖怪ハンターにも、妖怪ハンターなりの魅力があることを知った。

闇の国々

イメージ
  闇の国々 (ShoPro Books) 著者 : ブノワ・ペータース 小学館集英社プロダクション 発売日 : 2011-12-17 ブクログでレビューを見る» 見事な構築。 冒頭に地図があり、そこにある国々でおこる物語が掲載されている。 1巻の時点では、それぞれの話はまだつながっていない。 読者は壮大なイマジネーションの中をさまようことになる。 巨大な建造物、奇想天外なストーリー。 スクイテンは昔、リトル・ニモを描いていたと記憶しているが、当時から建物を見事に描く作家だった。 徐々に時代が変わっていくのも楽しい。巻が進むにつれて、現在や未来が描かれるのだろうか。

俳優の演技術 映画監督が教える脚本の読み方・役の作り方

イメージ
  俳優の演技術 映画監督が教える脚本の読み方・役の作り方 著者 : 冨樫森 フィルムアート社 発売日 : 2017-12-25 ブクログでレビューを見る» 映画や舞台の俳優を対象にした本。 演技について、懇切丁寧に解説している。 この本のすごいところは、俳優だけではなく、一般人が読んでも学ぶところが多いのだ。 映画ファンは、俳優がどうやって映画に参加しているのかを知ることができる。 それはそうだろう。 ただ、著者が書いている内容を解釈していくと、映画の制作方法だけでなく、登場人物に同化して映画を楽しむこともできる。 映画だけではない。読書でもこの本に書かれている考え方を使えば著者になりきって読むことも可能だろう。 他人を理解する、他人になりきる。 対象にいかに深く潜り込むか。 それは自分の世界を広げることにもつながる。 映画を愛する人、自分の世界を広げたい人に読んでもらいたい本だ。

絵を見る技術 名画の構造を読み解く

イメージ
  絵を見る技術 名画の構造を読み解く 著者 : 秋田麻早子 朝日出版社 発売日 : 2019-05-02 ブクログでレビューを見る» 非常に面白い。 絵画の読み取り方を技術的な面から徹底的に解説した本。 アート好きで、より深く理解したい、楽しみたいという人に向いている。 絵画の主題については触れておらず、技術の面のみ。 音楽でいうと、テーマやメッセージについては語られず、使われている楽器や演奏技術、曲の構造などについて解説している。 「この作品は私たちになにを語りかけているのだろうか」という話ではなく、画家がどんな工夫をして、形を整えたり、バランスを整えたり、または見る人がじっくり絵を見るような工夫をしているか、ということを解説している。 こう書くと難解な技術書なのではないかと思われるかもしれないが、非常にわかりやすい。たぶん、高校生くらいから読める。 いろいろな技術があるが、 ・フォーカルポイント 誰が、どれが、絵の主役なのか ・リーディングライン 鑑賞者の視線誘導 がおもしろかった。 他の技術もあわせて、絵画を見るときに意識しよう。 これは絵画を分析するための本ではなく、絵画を楽しむための補助的な本。あくまでも「絵画が好き」で「もっと知りたい」という人のための本だ。 音楽の話で言うと、音楽好きな人が、音楽ってどうやってできているんだろう、と知るための本。音楽から受け取る印象は、まずは本人の感覚を優先する。 今後、モダンアートや立体作品についても同じスタンスの本が出るといいな。と願う。

最高の体調 ~進化医学のアプローチで、過去最高のコンディションを実現する方法~ (ACTIVE HEALTH 001)

イメージ
最高の体調 ~進化医学のアプローチで、過去最高のコンディションを実現する方法~ (ACTIVE HEALTH 001) 著者 : 鈴木祐 クロスメディア・パブリッシング(インプレス) 発売日 : 2018-07-13 ブクログでレビューを見る» ブログ「パレオな男」が好きなので読んだ。 心身ともに健康でありたい人は参考になると思う。 ざっくりと以下について述べてある。 ・ストレス対策 ・目標達成 ・マインドフルネス ・充実した人生 手順が細かくて面倒くさいと思うものもあるが、常にマインドフルネスに生きるというのは現在練習中。 また、ポモドーロテクニックも試してみる。 原始時代の人間はこんな風に考えていた、という描写は、ソースがわからないというか、原始時代の人が考えていたことがどうしてわかるのだろうという疑問はある。 また、原始的な生活をしている民族が4±1の数字しか認識しないことから、それが人間の記憶できる数の限界だというのも、限定的な事例を挙げて、それを人類全体の機能であると論ずるのは無理があると思った。 ただし、全体的にはおもしろいと思うし、実践する行動も示してくれた。 「パレオな男」は引き続き読んでいこう。