絵を見る技術 名画の構造を読み解く

 

非常に面白い。

絵画の読み取り方を技術的な面から徹底的に解説した本。
アート好きで、より深く理解したい、楽しみたいという人に向いている。

絵画の主題については触れておらず、技術の面のみ。
音楽でいうと、テーマやメッセージについては語られず、使われている楽器や演奏技術、曲の構造などについて解説している。
「この作品は私たちになにを語りかけているのだろうか」という話ではなく、画家がどんな工夫をして、形を整えたり、バランスを整えたり、または見る人がじっくり絵を見るような工夫をしているか、ということを解説している。

こう書くと難解な技術書なのではないかと思われるかもしれないが、非常にわかりやすい。たぶん、高校生くらいから読める。

いろいろな技術があるが、
・フォーカルポイント
誰が、どれが、絵の主役なのか
・リーディングライン
鑑賞者の視線誘導
がおもしろかった。
他の技術もあわせて、絵画を見るときに意識しよう。

これは絵画を分析するための本ではなく、絵画を楽しむための補助的な本。あくまでも「絵画が好き」で「もっと知りたい」という人のための本だ。
音楽の話で言うと、音楽好きな人が、音楽ってどうやってできているんだろう、と知るための本。音楽から受け取る印象は、まずは本人の感覚を優先する。

今後、モダンアートや立体作品についても同じスタンスの本が出るといいな。と願う。

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